コーチング事例●職場の部下が角突き合いをしているのを何とかしたい

●職場の部下が角突き合いをしているのを何とかしたい

●今日の骨子

今日の流れはおおざっぱに言うと、以下の通りです。

●1) 現状把握

●2) 前提の提示

●3) 理想的な状態

●4)3)へ向かうための小さな一歩を明確にし、取り組み、達成する

 

コーチングの事例をご紹介します。(クライアントさんには了解済みです。そして、実際のコーチングセッションを要約しています)

 

●1) 現状把握

ある組織の、あるリーダー的立場にある方。(仮にAさんとしましょう)弱音を吐かない、弱みを見せないのがリーダーだと思い、職場の上司や同僚、部下にも一切協力を求めず、家族にも何も話していませんでした。

趣味はなく、定期的に話す友もなく、休みの日の楽しみといってはゴロゴロした後のパチンコと、テレビを見ること。 

周りも似たり寄ったりの役職者のようなので、Aさん自身はこんなものだと思っていました。

ところが、最近職場がぎくしゃくしてきました。部下同士が非難し合い、攻撃し合い、やめたいと言い出すスタッフが出てくる始末。
上司からは急にどうしたんだと言われるのですが、自分が特に何かしたせいではないので、どうしたらいいのかわかりません。

 という状況で、私のコーチングを受けられました。

 ●2) 前提の提示

これに対する打ち手は色々ありますし、やり方やプロセスは「これでなければならない」という、算数の答えのように、一つだけ答えがあるわけではありません。まず、その前提をお伝えしました。
そして、コーチングの大前提「何を言っても
OK 。批判・評価がなく、アドバイスをすぐ提示することもしません。また、コーチは守秘義務があるので、内容も、Aさんがコーチングを受けたということ自体も、他へは一切漏れないのでご安心を」とお伝えしたところ、その点から驚かれました。

 後ほど聞くと「管理職は部下に指示命令する、何か聞かれたら答えを出し、解決策を示すものだと思っていたし、常に上の眼や業績考課のことが頭にあるので、最初の前提自体が新鮮でした」とのことでした。

 

●3) 理想の状態

このセッションでは、Aさんにとっての理想的なリーダー像をイメージしていただき、その自分として、何でもできるとしたら、現状をどうしたいかお尋ねしました。

「職場をもっと明るくしたいですね」

「明るくとは、具体的には?」

「うーん、対立しているBくんグループとCさんグループの間の角突き合いをなくしたい。そうすれば、やめたいと言ってるスタッフも遺留できそうだし」

「そのためにできそうなことは?」

BくんとCさんと同じテーブルで話し合うことですかね」

 

「はぁ、そうですね」とコーチとしての私は、ここでYESを言いません。

今までのスタイルで話し合う=実はAさんが一方的に理想論や指示命令をぶつけて、BくんとCさんはそれを聴くだけでは、現状から建設的で持続可能な変化をもたらす可能性が低くなります。

 

●4) 目的へ向かう小さな一歩

そこで私からの提案です。

Aさんが「自分としてはBくんもCさんも頼りにしているので、もっとチームが円滑に業務に取り組めるように、二人の智慧を貸してくれないか?」と言ってみてはいかがでしょうか?

と提示します。
冒頭にお伝えしたように、いきなり私がアドバイスや提案をするのではなく、まずはAさん自身にアイデアを出していただいたきますし、YESNO、逆提案もありですよ、と言って、Aさんとの間ですり合わせをします。

そして、行動したら報告を楽しみにしています。と言って、コーチングセッションは終了です。

 

実はこの提案の前に、いくつかステップが入ります。というのも、現状の指示命令スタイルはその組織で行われている標準的なスタイルなので、Aさんがその点を変えようと思う必然性が薄いからです。

そのステップについては、明日のブログで書きます。

 

●5) まとめ

今日の流れはおおざっぱに言うと

1)現状把握

2)理想的な状態

3)2)へ向かうための小さな一歩を明確にし、取り組み、達成する

 

このサイクルを回してゆくプロセス自体が、コーチングだと私は思っています。

クライアントさんが現状を変えようと決意し、それに向けて取り組み始めると、最初のテーマ以外にも、良いことがたくさん出てきます。この副産物というか、副次効果によっても、クライアントさんから喜んでいただけることが、私にとって、コーチ冥利に尽きる点です。

コーチングというのは一般的に「ゴール=目的を明確にし、それに至るマイルストーン=目標を刻み、戦略や戦術を駆使して達成してゆく取り組み」のように理解しているコーチやクライアントさんも多いです。


何だか素晴らしいことのように聴こえますね。
ただ、それを具体的にどのように実現してゆくかは、コーチングの流派によっても、コーチ自身の背景、つまり成育歴、学歴、職歴、病歴、結婚や子育て、介護経験の有無などによっても異なります。

 そして、コーチ自身の性格やお人柄、価値観やビジョンによっても、あなたの目的の達成の仕方(つまり、深さや広さ、大きさ)は異なります。
私自身もクライアントとして経験があるのですが、相性の悪いコーチとは、目標を30%も達成できないどころか、結果がゼロということもあります。つまり、お金をドブに捨てただけに終わります。

これは何もコーチに力がないのではなく、クライアントの決意が弱いということもあります。クライアントの人生ですから、クライアント自身が自分の人生に責任を持つとコミットして、初めて目標や目的が達成されるのです。 

そうはいっても、やはり相性の悪いコーチとの間には、やる気、モチベーションが上がりにくいものです。高校の授業の時に、嫌いな先生の教科は勉強する気が起きず、好きな先生の教科は、その教科まで好きになったことがありませんか?それと同様です。

 ですから、「コーチを付けたものの、◆コーチとのセッション中やセッション後に気持ちが落ち込むとか、◆コーチにやると約束した目標へ向かう小さな一歩をやる気が全く起きない。◆結果が全く出ない」場合は、コーチとの相性が悪いこともありえます。自分を責めずに、他のコーチを試してみてください。

 病院にセカンドオピニオンがあるように、よかったら私もセカンドコーチとしていつでもご相談に乗ります。ご相談は→http://a-c-l.jp/askme/

では、今日もお互いに最高の1日を。

仕事と人生を変えるコーチ 喜多見明日香