職場の有能な部下が角突き合いをしているのを何とかしたい(その2)

職場の部下が角突き合いをしているのを何とかしたい(その2)

その1はこちら→http://a-c-l.jp/coaching-example/

 

◆今日の内容

  • 1)ミーティングの状況をありありと想像する

  • 2)本音を口に出す

  • 3)実は本音が伝わっていることを自覚してもらう

  • 4)部下になりきって、上司の本音を聴く

  • 5)ポジションチェンジとメンタルリハーサル

  • 6)俯瞰(ふかん)

 

コーチングのいわば骨格ともいうべき、全体の流れをその1でお伝えしました。ごくおおざっぱにいうと、テーマが何でも、どんな案件でも、この骨格は有効です。そして、私が思うに、この全体的な枠組みを、織り物の「経糸(たていと)」だとすると、横糸にあたるのが、今回お話しする「客観視・俯瞰(ふかん)」です。

 

この客観視も、非常に重要なスキルです。

では、具体的にみてゆきましょう。

 

  • 1)ミーティングの状況をありありと想像する

対立し合う部下を歩み寄らせるためにできることとして、クライアントのAさんが

「BくんとCさんと同じテーブルで話し合うことですかね」と言ったとします。

 

「では、今ここで実際にそれをやっているように、そのミーティングの最初の部分をやってみてください」と、コーチである私は、ミーティングの行われる場所(その組織の2階の小会議室など)、誰がどこに座るかなどを想像していいただいて、実際に、BくんとCさんに向けて話の口火を切ってもらいます。

そして、全体的なミーティングの推移「次はどんなことを言う」「それに対してBくんとCさんのリアクションはどうか」を口に出してもらいます。

 

  • 2)本音を口に出す

次に、このミーティングで本当の本音は部下に何と言いたいか、口に出していただきます。「なぁ、勘弁してくれよ。もうじき業績考課があるんだよ。こんな時にトラブルを起こさないでくれよ。俺に何の恨みがあるんだよ。大体お前は・・・」などと、好きに部下への愚痴や悪態も取り混ぜて、言う。安心してください。この場でAさんが何を言っても、他へは一切もれませんから。

  • 3)実は本音が伝わっていることを自覚してもらう

次に、Aさんに伝えます。「今言っていただいたことは、大人ですから、口に出しては言わないまでも、実は表情、雰囲気、態度といったボディランゲージから、部下や周りの方々に伝わっているものです。とりわけ、一般的に女性はそのあたりを察するのが上手です」

 

  • 4)部下になりきって、上司の本音を聴く

その上で、今度はAさんが部下になったつもりで、Aさんからの指示命令や、ノンバーバル(非言語)のメッセージを聞いてもらいます。私がAさんの役をして、感情たっぷりにAさんにぶつけます。(部下一人ひとりの対応を深めたい時は、BさんになってもらってBさん向けの本音を聞いてもらい、CさんになってもらってCさん向けの本音を聞いてもらいます)

 

ここでは仮にAさんにBさんになってもらったとして、上司のAさんから「なぁ、勘弁してくれよ。大体お前はなんでいつも時間を守らないんだよ。それからあの件の対応も、あの取引先とのことでも・・・」などと言われたら、どんな気持ちがしますか?

 

  • 5)ポジションチェンジとメンタルリハーサル

これが「客観視」の一つのパターンです。コーチングの流派によっては、これを「ポジションチェンジ」と言います。私は子どものころ「相手の立場に立って、考えてからものを言いなさい」とよく先生や親に言われていました。つまり、相手がどう思うか配慮に欠けた発言をしていたということなのでしょうが、具体的にどうすれば「相手の立場に立てる」のか、長年疑問でした。

その答えの一つが、この「ポジションチェンジ」です。コツは、「そういう状況では、こんな風に言うんじゃないんですか~?」と他人事のように言うのではなく、役柄を演じている役者のように、自分ごととして、その役柄になりきって、セリフを言い、本当にそう感じているかのように気持ちを感じることです。

それによって、その架空の想像の場面に、臨場感が生まれます。そして、この「実際は行われていないミーティング」を想像するのは、ロールプレイングや「メンタルリハーサル」の役割ともなります。つまり、予め予想される場面の一つをおさらいしておくことで、本番でよりドンピシャの対応ができるのです。

 

  • 6)俯瞰(ふかん)

もう一つの客観視のパターンが「俯瞰(ふかん)」です。ポジションチェンジがテレビのスリル番組で、頭にカメラを付けてジェットコースターに乗っているタレントの目線だとしたら、俯瞰はそのジェットコースターをはたから見ている感じです。 この記事の例で言えば、小会議室で行われているAさん、Bくん、Cさんのミーティングの様子を、はたから見ている感じ。カメラをやや引いて、場の空間全体を捉えている感じです。

本音を言っているAさん、それを聴いている部下。場の雰囲気は、どんなでしょうか。直感で想像して答えていただきます。

Aさんの答えが「BくんとCさんの表情が暗い。納得感がない」

という答えだとしたら、理想の状態とのギャップがあります。そこで、理想の状態に近づくためには、もっとどんなアプローチができるか。自分が部下ならどんなことを、どんな風に言ってほしいかを、考えてもらいます。そして、その1で紹介した「小さな一歩」として、実際に行動していただきます。

 

◆今日のまとめ

  • 1)ミーティングの状況をありありと想像する

  • 2)本音を口に出す

  • 3)実は本音が伝わっていることを自覚してもらう

  • 4)部下になりきって、上司の本音を聴く

  • 5)ポジションチェンジとメンタルリハーサル

  • 6)俯瞰(ふかん)

 

いかがでしょうか。経糸と横糸の枠組みにプラスして、応用スキルもありますが、それはまた別の記事で紹介いたします。

 

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仕事と人生を変えるコーチ 喜多見明日香